今回のコラムでも暴落時の対応や考え方について整理してみたいと思います。
悪い方のシナリオを想定しておく
下図は前回のコラムでも紹介した、リーマンショックと今回のコロナショックのNYダウ平均の比較グラフを4月17日まで更新したものです( リーマンショックの前日(2008年9月12日)とコロナショックの前日(2020年2月21日)を100として前後がどうなっていたかを比較)。
2月24日に暴落を始め、21日後の3月23日に底を打った形になっています。リーマンショックの時も20日後に一度底打ちをしたかに見えましたが、その後100日に渡りさらに下落を続けました。
今後についてはどのような動きになるのか気にされるお客様もいるかもしれません。そのような場合には、想定する悪い場合を伝え、仮に再度暴落して世の中が騒がしくなっても落ち着いて継続できるようにしておきましょう。
各種レポートなどを見ていると概ね3つのシナリオがありそうです。
- 比較的早い段階で治療薬やワクチンの目途がついて、ソーシャルディスタンスを取りながら徐々に経済活動が開始する。その場合には各国の経済対策と巣籠からの解放で逆バブルに近い上昇相場になる。
- 概ね予想通りの時期に薬やワクチンの効果が認められ、徐々に経済活動が再開する。ただし経済が止まっていた期間が長かったため、いろいろなところに問題が生じジワジワの回復になる。株価の動きは3歩進んで2歩下がる、のような動きになる。
- 経済活動は一度再開するが、パンデミック第2波が起こり、1波よりも大きなダメージを与える、または今は気づいていない都合が悪い事実が明らかになる。この場合にはもう一度突き落とされるかもしれない。
このように3つのシナリオをお伝えし、悪い想定が起こることも十分にあることを伝えておきましょう。
長期の積立投資で成果を得るために大切なのは短期的な予想を当てることではありません。大切なのは長く続けることです。あらかじめ悪い想定を共有しておくことで、仮にそれが起こったとしてもお客様は、自分のアドバイザーはすでにお見通しだった、と慌てずに継続することができます。
仮に予想がはずれて良いシナリオになったとしても怒ったり、不安になったりする人はいません。
長期の積立投資では、長く続けて、企業が生み出す成果をお客様が受取ることが目的で、アドバイザーの予知能力を競うことではありません。
積立を継続する価値を再確認、でも「今回は違うのでは?」と言われたら
下図は上グラフの期間を2017年7月まで伸ばしたものです。
リーマンショックの前日から1.9倍、リーマンショック後の安値から3.3倍、リーマンショック前の高値からでも1.5倍です。リーマンショック後に多くの人が悲観にくれている中、積立を継続したことで大きな成果を得ることができていたことがわかります。
そのような説明をしても中には、「リーマンショックはそうだったかもしれないが今回は違うのでは?」、と感じている人もいるかもしれません。
実は、過去もいつも「今回は違うのでは?」、だったのです。
一番わかり易いのは、2001年9月11日の同時多発テロです。民間の旅客機が高層ビルに突っ込む、などと言う事件が初めてでなかった人はいたでしょうか?
下記はその写真です。事件を知らずに家に帰えり、たまたまつけたテレビでこの光景を見たときに「あれ、今日はこの時間ニュースじゃないの、映画?」と冷静に思ったぐらいの出来事でした。
暴落が起こるときは必ず、「今回は違うのでは」、なのです。なぜなら見た光景、経験したことに結びつけられる出来事では株価はこのような暴落にはならないことの方が多いからです。
では、何故「今回も以前同様に回復する」と考えて良いのでしょうか?
運用レポートで投資先の企業を見る
ニュースやマーケット解説では今後の見通しなどについてデータなどを示しながら予想しています。しかしながら私たちのような長期の積立投資のアドバイザーがお客様と共有するポイントは少し違います。
こちらは変額保険に組み入れられている投資信託の組入銘柄の一例です(これらの銘柄が良い、ということではありません。他のファンドでも同様の考え方です)。
現在は感染拡大防止のため世界中で人の活動や物の移動が制限されています。それにより経済活動が停滞しています。売上や利益が平時よりも少なくなっている(なることが予想されている)ので当然株価は下がります。
新型コロナウィルスは必ずいつかは終息します。ではその後、これらの会社が作っている商品やサービスを人々は利用しなくなるのでしょうか?
コロナ後はもう利用しなくなるのであれば心配をしたりやり方を変えたりする必要があると思います。でも、もし引き続き利用するのであれば、、、、
あとは回復を待てばよい、ということになるのではないでしょうか?
なぜなら、当たり前すぎるのですが、消費や購買がその会社の売上で、売上から経費を引いたものが利益だからです。株式のシンプルな理屈については以下の記事をごらんください。
もし心配しているお客様がいるのであれば、或いは、「もう少し落ち着いてから」、と今すぐに始めるのを躊躇しているお客様がいるのであれば、このような株式についてのシンプルな理屈をお伝えしてはいかがでしょうか?