下記の記事はイーレター会員の方にご利用いただいているFP通信掲載記事(2018年11月号)です。ちょうどこの時期話題になっているノーベル賞も国際分散投資の有効性を伝えるきっかけにしてはいかがでしょうか?
FP通信 2018年11月号 「お金コラム」
10月はノーベル賞の発表がありました。日本人では京都大学の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授が医学生理学賞を受賞して話題になりましたね。
気になる賞金は?
今年度の賞金額は900万スウェーデンクローナ(以下SEK)です。9月末時点で、1SEKは12.80円ですから日本円にすると約1億1500万円になります。2012年にそれまで1000万SEKだった賞金を財政難から800万SEKに減額しましたが、昨年から100万SEK引上げて900万SEKになりました。
ノーベル賞は一つの部門で複数の研究者が受賞することがあります。今年の医学・生理学賞は、米テキサス大のジェームズ・アリソン教授との同時受賞でした。その場合には、半分の450万SEKづつになります。
本庶特別教授はその使い道について、ノーベル賞の賞金に、研究成果を利用して開発された薬の特許使用料も加え基金を設立し、生命科学分野の若手研究者を支援する考えをお持ちのようです。
1921年に物理学賞を受賞したアルベルト・アインシュタインの賞金の使い道には驚かされます。
彼は離婚をするときに、将来ノーベル賞を取ったら、その賞金を慰謝料にする、と約束して離婚し、その後本当にノーベル賞を受賞し賞金を慰謝料にしたといわれています。
賞金の財源は?
ノーベル財団はダイナマイトを発明したアルフレッド・ノーベルの遺産を基に設立されました。いくら莫大な遺産といっても取り崩すだけだと目減りしていってしまうので、株式などに投資をして、その収益を賞金や運営費用に充てています。
2017年の年次報告書によると運用資産は42.63憶SEK(日本円で約545憶円)。ポートフォリオは、
- 株式:50%(スウェーデン:10%、その他:40%)
- 債券:18%(スウェーデン:14%、その他:4%
- 不動産:7%
- オルタナティブ(ヘッジファンド):25%
となっています。
年間でかかる費用は、円換算(1SEK=12.80円として)で約13憶円です。内訳は、
- 賞金:約5.7憶円
- 選考機関の運営費:約3.4億円
- 授賞式・祝賀会:約2億円
- スタッフ給与・運営経費:約2億円となっています。
今年の受賞を含め日本人のノーベル賞受賞者は26人。特に最近は医学生理学賞の受賞が続いています(2012年、2015年、2016年、そして今年)。
このような研究が難病の克服は勿論のこと、経済的な負担が少ない治療に発展していくと良いですね。
ノーベル財団年次報告書:https://www.nobelprize.org/uploads/2018/07/annual_report_17.pdf