変額保険の提案をしているとお客様から「外国債券はどうなの?」と聞かれることはありませんか?
競合に上がっている債券の特徴をお客様自身もよく理解できていないため、適切な判断ができずにペンディングになってしまうこともあるかもしれません。
そのような時は、外国債券の特徴を整理して伝え、お客様がご自身に合った商品を選びやすくしてあげてください。
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個別債券の購入は慎重に
個別債券の購入をして良いのは以下の場合です。
- 100銘柄を超える銘柄を購入して、発行体の格付け、通貨(外債の場合)、償還までの期間、などの分散をして自分に合った債券ポートフォリオを構築できる場合
- 上記分散投資ができない場合は、発行体の信用状況にアクセスしやすいポジションにいて信用管理ができる自信がある場合
逆に言えば、上記に当てはまらないならば債券の個別銘柄を購入することは慎重にするようにしていただいたほうが良いと思います。さらに言えば、このような条件に当てはまる個人投資家はまずはいない、つまり個別債券を購入したほうが良い投資家はいない、といっても良いのではないでしょうか。
以下その理由を整理していきます。
債券とは
まずは債券の仕組みについておさらいです。
国や地方公共団体、 会社などが発行している借用証書のようなもので、満期時に受け取れる金額や、利子の金額などの 条件があらかじめ決められています。 定期的に「利子」を受け取ることができ、満期日を迎えれば「額面金額」を受け取れます。
日本証券業協会 http://www.jsda.or.jp/jikan/lesson4/#bond
特徴を整理すると以下のようになります。
- 発行体がつぶれなければ、発行時に約束された利息が支払われる
- 発行体がつぶれなければ、発行時に約束された期日に元本が返ってくる
- 途中で換金する場合には、その時の金利状況や発行体の信用状況によって価格は変動することがある
このような特徴をふまえ、以下債券の個別銘柄を買う場合のメリットとデメリットを整理してみましょう。
債券の個別銘柄を購入する場合のメリット
唯一のメリットは「わかり易い」、という事です。
発行体が破綻さえしなければ、償還までの期間、当初約束されていた利息と元本(外債の場合は現地通貨で)が返ってきます。破綻すれば返ってこないというものわかり易いとえいます。
外債の場合、現地通貨建てでは償還時に、(受取り利息の合計)+(償還金)、とほとんどの場合は購入金額よりも多くなって返ってきます。為替差損が生じた場合であっても、元本は現地通貨建てでは殖えていたが為替で損をした、と納得しやすいのが特徴になります。
債券の個別銘柄を購入する場合のデメリット
債券の個別銘柄を購入する場合のデメリット(注意点)は、上段買ってよい場合の裏返しになります。
信用管理は事実上不可能
つぶれなければ大丈夫、というもののつぶれるかつぶれないかを事前に察知することは事実上困難です。国内のよく知られた債券で電力債があります。震災の日を境に格付けが大きく変わり、それに伴い債券価格も大幅に値下がりしました。買い手がいないので売却も思うようにできませんでした。
震災以外では企業の不祥事などによってもこれと同様、発覚の日を境に格付けが下がり売れなくなることがあります。事前に不祥事を察知し、売却することはできませんし、ましてや震災などの事故を予想することはできません。
株式は悪いニュースや噂を織り込んでじわじわと値下がりしていきますが、債券の場合は破綻しなければ元本保証(償還時)という安心から、かえって気づくのが遅くなりがちになります。
日本の企業などの場合でも気づきにくいのですから、まして海外の発行体の信用チェックなど事実上不可能と言ってよいのではないでしょうか?
特に高利回り債は分散が必要
高い利回りを得るために格付けの低い債券を購入することもあるかもしれません。格付けの低い債券は格付けが高い債券に比べ信用度が低いのでより信用管理が難しくなります。大きな損失を避けながら高い利回りを得るためには、複数の低格付け債に分散投資をする必要があります。
また、同様に高い利回りを得るために新興国債券を購入する場合もあると思います。新興国通貨の変動はかなり大きくひとたび通貨安が起こると多少の高金利では賄いきれません。最近の事例ではトルコリラ建て債券があります。
トルコリラ建て債券は日本では比較的人気があります。下図はトルコリラ/円の10年間の値動きを表しています。10年前に1トルコリラ60円程度だったものが現在は約18年と1/3以下になっています。
新興国通貨ではこのような大きな変動はよくあります。従って新興国の高い金利を得るためには通貨の分散が必要になります。
償還日の分散
以外と見落としがちなのが償還期限の分散です。例えば今年償還を迎える債券があるとします。特に今すぐに必要なお金でなければ、償還になったお金で再度別の債券を購入するのではないでしょうか。
この時にたまたま金利が高ければ高い金利を償還まで得ることができますが、反対に金利が低ければ低い金利で償還までフィックスすることになってしまいます。多くのお客様は償還時の金利など考えていることはなく、「●年で■%ですよ」、という表面上の条件だけで、しかも円の金利と比べて購入の判断をしているように感じます。
償還日についても銘柄や通貨同様、幅広く分散されていればたまたま償還した年の金利水準にその後の運用成果が左右されるのではなく、穏やかに市場金利に連動していくようにすることができます。
投資信託ではどうなっているか見てみる
投資信託などを使い債券の分散投資をした場合どうなっているのか見てみましょう。下記は某保険会社の変額保険に採用されている アライアンス・バーンスタイン・グローバル・ボンド・ファンド という債券ファンドの運用報告書全体版2018年5月の抜粋です。分散投資の事例を確認するためのもので、このファンドを推奨(非推奨)するものではないことをご了承のうえご覧ください。
地域や国、債券の種類(国債、社債)、償還日(表の一番右の列)が幅広く分散されていることがわかると思います。
個人で個別銘柄の債券を購入する場合には、このように分散するか、もしくは徹底的にリサーチをして信用管理をするか、ができないのであれば、すでに分散されている投資信託のような商品を検討したほうが良いでしょう。
債券の個別銘柄を検討しているお客様がいたらこのようなことを整理して伝え、的確な選択ができるようにお手伝いして上げてください。