こんにちは。
社会保険労務士の金井雄吾です。
少し間が空きましたが、障害年金教室第3回です。
今回は障害年金がもらえる条件についてお話しする準備として、「初診日」についてお伝えします。
一般的に「障害の状態が悪ければ、障害年金が受けられる」とお考えになっている方が多いのですが、実務的には初診日の特定、証明で手間取ることが多いのです。
なぜ、初診日がそれほど重要なのか
障害年金を支給するにあたり、初診日は次の判断の基準となります。
- 保険料を払っているかどうかの判断を、初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの期間で判断します。
- 初診日に国民年金、厚生年金など、どの年金制度に加入していたかによりもらえる年金の制度を判断します。
- 初診日から1年6ヶ月経った日の障害の状態により障害等級を判断します。(提出時の障害の状態により障害等級を判断する方法もあります。)
このように初診日を基準として判断するものが多いため、初診日が分からないと障害年金の支給を行うかどうかの判断ができないのです。
初診日とはどんな日を言うのでしょう?
初診日とは、「障害の原因となった傷病について、初めて医師または歯科医師(以下「医師等」という)の診療を受けた日」をいいます。
注意していただきたいのは、
- 「いつ発病したのか」
- 「いつ診断名がついたか」
ではなく、「いつ医師等の診察を受けたか」であることです。
つまり、カウンセリングや接骨院にかかった日は「初診日」にはなりません。
また、傷病名が確定しておらず、障害の対象となるケガや病気と異なる傷病名であっても、同じケガ・病気と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日となります。
もう少し詳しく見てみましょう。まずは、一般的な初診日の考え方です。
- 初めて診療を受けた日(治療行為または療養に関する指示があった日)※その傷病に関する診療科や専門医でなくともよい
- 同一傷病で転医があった場合は、一番初めに医師等の診療を受けた日
- 同一傷病で傷病が治ゆし、再度発症している場合は、再度発症し医師等の診療を受けた日
- 傷病名が確定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても、同一傷病と判断される場合は、他の傷病名の初診日が対象傷病の初診日
- 障害の原因となった傷病の前に、相当因果関係があると認められる傷病があるときは、最初の傷病の初診日
- 起因する疾病があっても社会的治ゆが認められる場合は、その後に初めて医師の診療を受けた日
次に、原因となる病気・ケガに特有な初診日の考え方です。
- じん肺症(じん肺結核を含む)については、じん肺と診断された日。
- 先天性の知的障害(精神遅滞)は出生日。
- 発達障害(アスペルガー症候群や高機能自閉症など)は、自覚症状があって初めて診療を受けた日が初診日。
- 先天性心疾患、網膜色素変性症などは、具体的な症状が出現し、初めて診療を受けた日。
- 先天性股関節脱臼は、完全脱臼したまま生育した場合は出生日が初診日となり、青年期以降になって変形性股関節症が発症した場合は、発症後に初めて診療を受けた日
障害年金の請求にあたり少し独特な考え方「初診日」がキーワードになることを押さえておいていただきたいと思います。