変額保険の提案が定額保険と大きく異なるのは、日々流れる世界の情勢・ニュースなどにお客様が反応して毎回異なる反対、質問が出てくることなのではないでしょうか?
今年はまだ日本市場が正月休みのうちに米国がイランの革命防衛隊の司令官を殺害、報復としてイラクの米軍拠点にミサイルを着弾させました。これにより世界に緊張が走り翌日の株価は大きく下がりましたよね。
その後両国とも「エスカレートを望まない」と表明したことで現状落ち着いています。
このような衝突があると当然株価に影響を与えます。金融機関の販売サイドの人はお勧めの商品を買ってもらうために、事が大きくならない理由や予想をお客様に伝えることが多いように感じます。
しかしながらその予想は必ず当たるとは限りませんから万一予想が外れた場合にはその後のお客様との関係が少し不安になりますよね。
そのような時は、予想ではなく過去に有った同じような事例を整理して、低迷した期間、その後の回復の状況などを伝えることが長期投資では成果に結びつくと考えています。
今回は2つの事例を整理してみましょう。
2001年9月 同時多発テロからイラク戦争
下図は2001年9月の同時多発テロからイラク戦争にかけてのNYダウ平均株価の推移です。
2001年9月初旬に10,000ドル程度だったNYダウ平均は同時多発テロを受け8,200ドルまで下落、その後戦争懸念から2年間に渡りさらに7,500ドルまで下落しました。2001年春の高値から約30%の下落です。
2003年3月にアメリカが先制攻撃を開始。株価は戦争を懸念して値下がりしていましたが現実に戦争になるとそれが底値になりました。
1991年 湾岸戦争
こちらは1990年のイラクのクウェート侵攻から1991年のイラク戦争前後のNYダウ平均株価の推移です。
イラクの侵攻前に3,000ドル程度だった株価は戦争懸念から2,500ドル割れまで下落しました。このケースも空爆開始から上昇に基調を変えていっているように見ることができます。
戦争前に危険を感じて一度売却し、状況がはっきりしたところで買い戻すことができればすごく良いのですが現実的には難しいのではないでしょうか?
長期投資のアドバイザーはどのように伝えるか
年初のイランでの衝突のようなことがあった場合どのように考えればよいでしょうか?短期の値動きによる利益獲得を目的とするのであればタイミングよく動かなくてはなりませんが長期の投資家はどうでしょうか?
ここで注目したいのはこの時の株価です。18年前の同時多発テロの時は1万ドル、29年前の湾岸戦争の時の株価は3,000ドルです。
現在のNYダウ平均は、約29,000ドル(2020年1月24日現在)です。戦争や衝突による下落を受入れても、29年で約10倍、18年で約3倍になっています。
これは戦争や衝突で一時的には(時として長期に渡ることもあるかもしれませんが)経済活動が停滞しますが、そのような環境であっても事業を発展・継続させようとする株式会社の経済活動によるもの、と言ってよいのではないでしょうか?
そうであれば、長期投資のアドバイザーは、お客様と投資可能期間をよく共有し、予想によってタイミングを計ったり商品を乗り換えたりするのではなく、時間がかかったとしても『投資先の企業が成長するのを待つ』という視点をしっかりとお客様にお伝えすることが大切なのではないでしょうか。