今月前半で気になったのは、景気は良いのに消費や税収が増えないというニュースです。
通常は景気や企業業績が良くなれば税収が増えることが期待されますが、景気や企業業績の回復が思ったように税収に結びついていないようです。
それに関連して、需要超過でも物価に重荷 賃金や消費、回復鈍く、という記事もありました。
通常は需要超過になれば物価は穏やかに上昇、デフレから脱却し消費につながってくる、と考えられています。
景気や企業業績が良くなっても税収が増えず、さらに将来不安が増大する、という心理状態で消費に結びつかない、というのが現状のようです。
消費回復に結びついていかない原因として、「非正規社員の増加や社会保障への将来不安から消費回復は緩慢」、とあります。
確かに将来の年金や医療制度などはやはり不安ですし、さらに自分の仕事も不安、では消費どころではないのではないでしょう。
では、その非正規社員、ですが、労働人口の何割ぐらいなのでしょうか?
厚生労働省のHPによると、H28年のデータで、労働人口5391万人のうち約4割の2023万人が非正規とあります。
4割と聞くとそれだけでも多いという印象を持ちますが、H元年が817万人と平成に入ってから2.5倍に増加、一方その間の正規社員は大体3300万人台で変化なし、という数字を見ると非正規が占める割合がいかに多くなったかがわかります。
年齢別の推移のページを見ると、H28年で約1000万人の25歳~54歳までの人が非正規で働いていることがわかります。子育て世代であり、本来最も消費性向が高い世代です。
厚労省のHPには近年65歳以上の割合が増えている、とありますが、
1.寿命が延びて65歳以上になっても働きたいという意欲がある人が増えた
2.長い老後に対して、公的年金と貯金だけでは不安
の2つの要因があるように感じます。
一言に非正規といっても、その5割弱がパートですが、中には世帯主の所得だけでは不安、という方も多いかもしれません。
税収や消費が盛り上がらない大きな原因が「非正規」ということで、この傾向が継続するのであれば、
将来の医療、介護、年金などの課題に対して過度に国頼りをするのではなく、メリハリをつけた自助努力がより必要になるかもしれません。